学校給食の厨房における排水浄化事例


「新ん泉」を受水槽の1次側に設置することで、施設全ての水質の向上が図れます。施設全体で顕著なメリットは給水管における錆の除去およびその防止にありますが、水の溶解力、洗浄力が向上することでグリストラップ槽や排水管の汚れの低減やつまり防止、悪臭の低減など、メンテナンスコストの削減や排水管の延命化が図れるます。結果的には排水の浄化作用による環境保全効果があります。

ここでは、「新ん泉」設置のメリットの1つである学校給食における厨房の排水浄化の効果について関係者の方々のご協力のもとで実施した調査結果を報告致します。

新潟市立曽野木中学校の給食厨房周囲の様子(新ん泉はポンプ室内受水槽の一次側に設置)

グリーストラップ槽の変化の様子(排水はそれぞれ右側から左へ流れている)

設置前(3月19日)

第2槽の油脂が全面を覆っている。油脂成分の汚れが左側の第4槽でも確認できる。

設置8週間後(5月28日)

第2槽の油脂層の表面が分断され、油脂の分解が進んでいることが見て取れる。

 

 

設置 10週間後(6月11日)

すべての槽の表面の油脂層の分解が進んでいる。写真では分かりにくいが、それぞれの槽の分析用に採取した下方の汚水はこの時期頃より透明度が随分増していた。


水質分析
分析者 内藤環境管理株式会社

計量方法

 

 

COD:JIS K010217

BOD:JIS K010121

ノルマルヘキサン抽出物含有量:昭和49年環境庁告示第64号付表4

調査期間:2003年3月18日〜2003年7月16日

原則として採水時間は午後3時、採水日は水曜日とする

  a. 設置前:2回採水し平均値とする

  b. 設置直後は1週間後

  c. b以降は2週間毎の採水(給食の実施日のみとする)

調査内容:

A グリストラップ槽の第2槽より採水した排水の水質調査

  a. COD b. BOD c. ノルマルヘキサン

B グリーストラップ槽の写真(設置前と2ヶ月、3ヶ月後の比較)

 

表1. グリーストラップ槽の排水水質変化(単位:mg/ℓ)

*6 月11 日は新潟市体育大会のため採水を1 週間延期し、その後2 週間毎の採水日とした。

A. COD(化学的酸素要求量)

有機物の炭素と水素によって消費される酸素量を測定し、河川水や産業廃棄物による汚染度を判断する指標。JIS では過マンガン酸カリウム(KMn04) による消費量を測定。 設置前は142mg/l あった数値も献立による若干のぶれはあるが、設置3 ヶ月の段階では3 割以下まで低減し、その後も低い値のまま安定している。

B. BOD(生物化学的酸素要求量)

微生物が水中の有機物を分解するときに必要な酸素量で汚れの度合いを表す指標。新潟市の特定施設の下水排水基準は600mg/l未満である。 設置前は433mg/lで飲食店などと比較すると異常に高い数値ではないが、そのままでは排水に放出するには基準値を越えてしまう可能性もある値である。COD同様使用する期間が長くなるに従い数値は低下し、設置4ヶ月の7月の値は設置前の3割程度まで改善されている。

C.  ノルマルヘキサン抽出物質含有量

水中の油の量を表す数値。排水中に含まれる比較的揮発しにくい鉱物油、動植物油、グリース等の不揮発性油脂(油状物質)の量である。新潟市の特定施設の下水排水基準は30mg/l未満である。 設置前は1200mg/Iとかなり高い値を示していたが設置2ヶ月経過をしたあたりから急激に改善され、4ヶ月経過の7月の採水では設置前と比較すると5%近い値にまで大幅に改善されている。

鉱油類、動植物油脂類などの油分の他にも、界面活性剤や石鹸、アルコール、アミン類、農薬や染料、フェノール類などヘキサンに抽出される不揮発性物質の総量をノルマルヘキサン抽出物質として分析しています。ノルマルヘキサン抽出物質は、1965年に「油脂類(n-ヘキサン可溶性物質)」として分析方法ができ、魚介類の死滅や油膜・油臭などの原因となる、油汚染の指標となりました。
終わりに

今回の調査にご協力いただいた調理士の方々に下記のコメントを戴きました。

設置前は)環境に配慮して、食器を洗う洗剤を中性洗剤から固形石鹸に変えたので汚れがなかなか落ちづらいと感じていたが、活性水に変わってからは石鹸の使い勝手や汚れ落ちが良くなったようにも思う。 

梅雨時でいろいろな臭いやカビが発生しやすい時期にもかかわらず、特に月曜日の朝一番でも給食調理室内全体に漂う嫌な臭いが感じられなくなった。 

排水溝回りの嫌な臭いがなくなったのには驚いた。 


活水器「新ん泉」は私達の使用する「水」の本来の力を引き出すことが知られています。
開発者の当初の目的は排水浄化にあり、これまでも河川の汚染を少しでも改善する事に大きな意義を感じていました。

今回、2次的なメリットとして貴施設の学校給食における排水の浄化についてもはっきりと効果を確認できました。水の洗浄力という点からは他にもトイレや水飲み場などの衛生面の向上なども効果の1つとして考えられます。

参考資料

表2. サンプル採取日の給食献立

大型商業施設内ラーメン店の排水浄化事例


◆ 調査の経緯

1999 年1 月20 日、新潟伊勢丹デパート内 7F とんこつラーメン店「さが野」 の 水道水ラインに「新ん泉」TH-600(口径30A)を設置(給湯ラインは別系統の ため未設置)して、その効果について調査を行った。

※今回の設置は水道水給水管のみであり、4 月下旬頃まで洗い物には「新ん泉」 水ではない給湯専用のお湯を使用していた。しかし5 月以降はほぼ100%「新 ん泉」水に切り替えた、という変則的事例のデータであることをお断りしておく。

◆ 調査の目的

同デパート内の飲食店や社員食堂の厨房内グリストラップ槽は、これまでバキュー ム清掃(排水管の詰まり・臭いの防止等の為)を月2 回行っているが、「新ん泉」 設置による油脂の溶解力向上、洗浄力向上等の効果により、バキューム清掃の頻 度の減少を図れるか否かについて、検証のために試験的に設置した。

 

◆ 調査内容と概要

今回の調査はとんこつラーメン店「さが野」におけるグリス トラップ槽の第三槽より採水した排水の水質分析( 7 項目)

🅐 COD-cr(化学的酸素消費量) 

🅑 BOD(生物化学的酸素要求量)

🅒 DO(溶存酸素量) 

🅓全窒素量 🅔リン酸 🅕濁度

🅖 n-Hex(ノルマルヘキサン抽出物質含有量)

※ 排水の有機物汚染度合 を測定するために🅐🅑🅒🅕🅖 を測定。 環境的配慮より、基準項目にはない富栄養化の指標である🅓🅔も測定した。

水質分析

(1)グリストラップ槽の水質分析

グリストラップ槽の油脂層の分解等の進行に伴い、排水の水質も変化し、各数値の低下をもたらす。 したがって各数値(溶存酸素以外)が低下するにしたがい、汚れが改善されていることを間接的に表します。

表1. グリストラップの排水水質変化

※清掃状況について: 4月21日までは採水2週間前にグリストラップ槽のバキューム清掃を行っていたが、テスト的に4月21日はバキューム清掃を行わず、4週間の間隔をあけて5月6日の採水を行った。

※ 3月3日水質について:各分析担当者からのコメントによると3月3日分の検体に関しては浮遊物が検体中に混入した状態で分析が行われたため、従来の数値とは単純な比較ができない数値になってしまった。


🅐 COD―cr( 化学的酸素消費量 Chemical Oxygen Demand )

有機物の炭素と水素によって消費される酸素量を測定し、水の汚染度を判断する指標。(世界的に採用されている=クロム酸カリウム《K2CrO7》消費量での測定値)

設置前は1047mg/ℓと汚染が高い数値を示していたが、その後は全体として低下傾向を示している。3/3、4/7とピークを形成しているが、これはその前の店舗の運営状況(来店客数)による影響と思われる。4/7~5/6の1ヶ月は途中の清掃をはぶいたため、4/21以降の数値は上昇したものの、清掃なしの状態としては以前と比較しても大幅に改善されており今後は清掃間隔を広げても良い状態を維持できる事を示唆している。2週間清掃した5/19、6/2ともに低い数値を保っている。

(注:水質汚染防止法及び各自治体の各例で規制されており、総量規制項目になっている。)

🅑 BOD( 生物化学的酸素要求量 Biochemical Oxygen Demand )

微生物が水中の有機物を分解するときに必要な酸素量で汚れの度合いを表す指標。新潟市の特定施設の下水排水基準は600mg/ℓ未満であり、設置前は1100mg/ℓで有機物を多く含んだ排水であることがわかる。CODと同様に3/3、4/7にピークを示しているものの全体としては低下傾向を示している。清掃を行わず1ヶ月経過した5/6でもその値は510にとどまっており汚染物質が分解されている状況を示している。2週間清掃した6月2日は設置前の1/4以下の低い数値を示し、更に汚染物質が分解されている状況を示している。

🅒 DO(溶存酸素量 Dissolved Oxygen )

水の中に溶け込んでいる酸素量のことで、有機汚染の量を判断する。DOが減少すると、水中の好気性微生物の活動が鈍って腐敗臭がするなど、河川の自然浄化作用が働かなくなる。魚が住めるのは水中溶存酸素が3.0ppm以上である。数値が大きくなるほど汚染が少ないことを示し、設置前は0.38ppmとグリスト槽内の汚染が限界に来ていた事を示している。その後、全体的にDO量は増大しているが4/7のピーク時にはCODなどとは逆に、DO値は低下を示した。しかしながらグリスト槽としては全体的に良いレベルを維持している。

🅓  全窒素量

水中に含まれるアンモニア窒素、亜硝酸窒素、硝酸窒素、有機窒素の総量のこと。水の富栄養化を示す指標で、食品(油・醤油・みそ汁)がそのまま排水に流出すると数値が上昇する。設置前は食品残留物がグリストラップ槽にそのまま滞留していたため高い値を示していた。利用者数の増加に伴い2月の一時期に比べると全窒素分は上昇したが、以前ほど高い数値を示さず「新ん泉」水の溶解力の増大に伴い低位安定の数値を示している。

🅔  リン酸

水中に含まれるリン分で水の富栄養化を示す指標。米のとぎ汁等の食品関係からの流出もあるが、洗剤に多く含まれる。全窒素と同様に食品中のリン酸分の滞留が高い数値の原因だったが、「新ん泉」水の溶解力によって安定的に低い数値を示すようになっている。

🅕  濁度

水中の懸濁している固形物の量を透過度で判断し、水の透明度から汚れを判断する。排水では「浮遊物質」、或いは「懸濁物質量」( SS=Suspended Solid )の項目*が基準値としてあるが今回は参考項目として測定。設置前(288)はうわずみそのものがかなり白濁し、油分、汚れ分が多く含まれていて濁度は高い状態であった。ピーク時の3/3、4/7はやはり濁度も高め数値を示しているが、全体的に低下傾向を示している。1ヶ月間清掃のなかった5/6は高めの数値になったが、これも通常の清掃を実施していれば低下傾向を示したものと推定される。 *SSとは、水中に浮遊または懸濁している直径2mm以下の物質の量のこと。

🅖  n-Hex(ノルマルヘキサン抽出物含有量)

鉱油類、魚介類の死滅や油膜・油臭などの原因となる油汚染や界面活性剤や石鹸、アルコール、アミノ酸、農薬や染料、フェノール類などの水中汚染の指標。 油汚染は環境負荷が極めて高いため、水質汚濁防止法や下水道法で一定条件下でヘキサンにより抽出される総量が規制されている。(ノルマルヘキサン抽出物含有量:昭和49年環境庁告示第64号付表4)

グリーストラップ槽の汚れについて

写真 左A・右B)設置前・後(2週間後、2月3日)のグリスト槽の比較

写真【A】では特に1 槽・2 槽での上部の油脂層が厚く・びっしりと汚れがこびり付いていた物が設置2 週間で油脂層 が低減していることがわかる。 またグリストラップ槽の回りの汚れについてもステンレス部分が多く現れ、汚れが落ちてきていることがわかる。今後は第2 槽まで上部にできている油脂層がなくなり、第3 槽にいたっては水が清澄して行くことが予測できる。 厨房内の床の油汚れについても写真【B】でもわかるように設置前は翌朝でも床がぬれた状態でヌメリがあり、滑りやすかったが、2 週間後以降は床のヌメリもなくなり、全く滑らなくなった。厨房内に設置されている排水槽についても設置前は油で白濁し、油脂層があったが、2 週間後の水は澄 んでいることがわかる(写真【C】【D】参照)

写真【C】設置2週間後(2月3日)厨房内床 写真【D】設置2週間後

使用感

ラーメン店 さが野店長のお話

A. 飲料水について

①「 新ん泉」 を設置したその日からすぐに水の違いに気付いた

(非常にまろやかで、塩素臭を感じないおいしい水に変化した )

B. 食材について

① 少し時間が経ってもご飯が黄ばまない

② 野菜 を水につけておくと葉がシャキッとして鮮度が保たれる

③特にもやしの鮮度が長いのには驚かされる

C. 厨房について

①シンクなど、水回りの汚れが落ち易い

②調理器具や食器などの油汚れが落ち易い

③厨房内の臭気があまりしない

④グリストラップ内の油脂類の汚れが溜まりにくい

⑤排水溝の汚れがつきにくい

上記の項目すべてに効果が確認されています。

グリスト槽清掃業者のお話

【5 月19 日】

①水で洗っているのに熱湯で洗ったようにきれいになった ので驚いた。

②ストレーナー(ステンレスのカゴ)にゴミが直接くっつかなくなっている。

③仕切り板の油脂分が簡単にすぐ取れる。

④結論からいうと、水だけで洗っているのに清掃が簡単である。

⑤他のグリストラップ槽とは比較にならないほど清掃が楽になった。

【6月2日】

① 今まで、他の飲食店のグリストラップ槽に比べて 「さが野」のグリストラップ槽は特に汚れも臭いも 酷かったのに、今は臭いもほとんどしないし、いち ばん簡単に汚れが取れる。


総 括

 

特に驚いておられる点は、「水だけで油汚れが落ちる」とのことです。

上記アンケート以外に下記のコメントを頂きました。

●普通は“ 水” だけでは汚れが全く落ちなかったのが、水洗いのみで汚れが落ちることに大 変驚いている。

●残飯取り用のステンレスのザルの目に油脂が詰まっていて、洗剤を付けてゴシゴシ洗ってよ うやく落ちたのが、今ではザルの目に油脂が詰まらなくなった。

●洗剤を付けなくてもパットなどは水洗いのみできれいになった。

●調理台のステンレスもきれいになった。

●グリストラップ槽の油脂層がなくなった。

●厨房内全体のイヤな臭いがなくなった。

●特にグリストラップ槽の清掃をアルバイトにさせると、1 日で辞めるほど臭いがひどく吐き 気をもよおすような状態だったが、改善された。

●そば(麺)を茹でる網の目にヌルヌルが詰まっていたのが取れて、付着しなくなった。

●床が滑らなくなった