体育館や大規模な建物では、熱中症対策の迅速な実施と労働環境の改善が、管理者の重要な責務として問われています。

猛暑日が続く昨今、事業者の皆様は真夏の熱暑対策としてどのような取り組みをされていますか?

大手流通事業者の集配センターでは、厳しい暑さの中で働く環境の改善を求め、従業員によるストライキが発生しました。これを受け、ファン付きジャケットの支給や車両のアイドリング停止など、倉庫内の労働環境を改善する動きが広がっています。しかし、多くの事業者は、根本的な解決ではなく、一時的な対策にとどまっているのが現状ではないでしょうか。

一方、小中学校の教室や体育館への冷房設置は喫緊の課題となっており、全国的に支援制度が新設されるなど、具体的な対策が進められています。

空調機を設置すれば、熱暑対策は解決するでしょうか?

答えは “NO!” です。現在、社会全体が気候変動対策としてカーボンニュートラルを目指し、電力消費の抑制に取り組んでいます。学校運営者も例外ではなく、熱暑対策だけでなく、空調機の設置による電力消費の増加に悩まされる可能性があります。

その理由は、広い屋根を持つ建物自体が巨大な蓄熱空間となるためです。屋根や外壁から取り込まれた熱は、空調機によって冷やされた空気と混ざり、冷房効率を大幅に低下させます。さらに、空調のランニングコストが増大するだけでなく、冷房の効果を最大限に発揮することが難しくなる点にも注意が必要です。

熱中症は室内で、しかも深夜から明け方に起きるという事実をご存知ですか?

近年、熱中症は住宅内(37%)で多発しています(総務省2017年)。室温28℃、湿度70%が室内熱中症の警戒ラインです。鉄筋コンクリートの建物(マンションetc.)の場合、コンクリートの屋根や外壁が日中に熱をため込み、やがて熱が壁内に伝わります。コンクリートは熱しにくく冷めにくい性質のため、5〜10時間遅れて壁面からの放射熱で室内温度が上がり、翌朝まで30℃以下になることがありません(週刊文春2018.7)。翌朝には新たに太陽熱を浴びて温度上昇が繰り返され、室内温度が下がらない状態が続くことになります。

倉庫内温度の抑制事例

【工事目的】 容積の大きい倉庫内温度は人や荷物の出入りが避けられず、空調による大幅な電力料金の増大を伴います。倉庫内での作業員の健康のみならず、室内の温度コントロールは保管している大切な荷物の品質維持にも直結するは重要なファクターとなり、大きなコスト負担となっています。室内温度を改善するために天井裏温度を低減することでクーラーの電力消費量の削減を目指しました。


食品スーパー折板屋根の塗装事例

【工事目的】 生鮮食品の鮮度維持のために低温に設定している店舗内と、天井裏が高温となる事によって生じる天井の結露を抑制することを目的とした。折板屋根への遮熱・断熱塗料塗布は屋根裏の温度を大幅に低減します。この温度差を抑えることにより天井の結露を大幅に抑制できました。更に、天井裏温度が低減することでクーラーの電力消費量も大幅に削減できました。